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新保育所保育指針/第3章保育の内容



第3章保育の内容

 保育の内容は、「ねらい」及び「内容」で構成される。「ねらい」は、第1章(総則)に示された保育の目標をより具体化したものであり、子どもが保育所において、安定した生活を送り、充実した活動ができるように、保育士等が行わなければならない事項及び子どもが身に付けることが望まれる心情、意欲、態度などの事項を示したものである。また、「内容」は、これらの「ねらい」を達成するために、子どもの生活やその状況に応じて保育士等が適切に行う事項と、保育士等が援助して子どもが環境に関わって経験する事項を示したものである。
 保育士等が、上記の「ねらい」及び「内容」を具体的に把握するための視点として、「養護に関わるねらい及び内容」と「教育に関わるねらい及び内容」との両面から示しているが、実際の保育においては、養護と教育が一体となって展開されることに留意することが必要である。
 ここにいう「養護」とは、子どもの生命の保持及び情緒の安定を図るために保育士等が行う援助や関わりである。また、「教育」とは、子どもが健やかに成長し、その活動がより豊かに展開されるための発達の援助であり、「健康」、「人間関係」、「環境」、「言葉」及び「表現」の5領域から構成される。この5領域並びに「生命の保持」及び「情緒の安定」に関わる保育の内容は、子どもの生活や遊びを通して相互に関連を持ちながら、総合的に展開されるものである。

1 保育のねらい及び内容

(1)養護に関わるねらい及び内容

ア 生命の保持

(ア)ねらい

① 一人一人の子どもが、快適に生活できるようにする。

② 一人一人の子どもが、健康で安全に過ごせるようにする。

③ 一人一人の子どもの生理的欲求が、十分に満たされるようにする。

④ 一人一人の子どもの健康増進が、積極的に図られるようにする。

(イ)内容

① 一人一人の子どもの平常の健康状態や発育及び発達状態を的確に把握し、異常を感じる場合は、速やかに適切に対応する。

② 家庭との連絡を密にし、嘱託医等との連携を図りながら、子どもの疾病や事故防止に関する認識を深め、保健的で安全な保育環境の維持及び向上に努める。

③ 清潔で安全な環境を整え、適切な援助や応答的な関わりを通して、子どもの生理的欲求を満たしていく。また、家庭と協力しながら、子どもの発達過程等に応じた適切な生活リズムがつくられていくようにする。

④ 子どもの発達過程等に応じて、適度な運動と休息をとることができるようにする。また、食事、排泄、睡眠、衣類の着脱、身の回りを清潔にすることなどについて、子どもが意欲的に生活できるよう適切に援助する。

イ 情緒の安定

(ア)ねらい

① 一人一人の子どもが、安定感を持って過ごせるようにする。

② 一人一人の子どもが、自分の気持ちを安心して表すことができるようにする。

③ 一人一人の子どもが、周囲から主体として受け止められ、主体として育ち、自分を肯定する気持ちが育まれていくようにする。

④ 一人一人の子どもの心身の疲れが癒されるようにする。

(イ) 内容

① 一人一人の子どもの置かれている状態や発達過程などを的確に把握し、子どもの欲求を適切に満たしながら、応答的な触れ合いや言葉がけを行う。

② 一人一人の子どもの気持ちを受容し、共感しながら、子どもとの継続的な信頼関係を築いていく。

③ 保育士等との信頼関係を基盤に、一人一人の子どもが主体的に活動し、自発性や探索意欲などを高めるとともに、自分への自信を持つことができるよう成長の過程を見守り、適切に働きかける。

④ 一人一人の子どもの生活リズム、発達過程、保育時間などに応じて、活動内容のバランスや調和を図りながら、適切な食事や休息がとれるようにする。

(2)教育に関わるねらい及び内容

ア 健康

健康な心と体を育て、自ら健康で安全な生活をつくり出す力を養う。

(ア)ねらい

① 明るく伸び伸びと行動し、充実感を味わう。

② 自分の体を十分に動かし、進んで運動しようとする。

③ 健康、安全な生活に必要な習慣や態度を身に付ける。

(イ)内容

① 保育士や友達と触れ合い、安定感を持って生活する。

② いろいろな遊びの中で十分に体を動かす。

③ 進んで戸外で遊ぶ。

④ 様々な活動に親しみ、楽しんで取り組む。

⑤ 健康な生活のリズムを身に付け、楽しんで食事をする。

⑥ 身の回りを清潔にし、衣類の着脱、食事、排泄など生活に必要な活動を自分でする。

⑦ 保育所における生活の仕方を知り、自分たちで生活の場を整える。

⑧ 自分の健康に関心を持ち、病気の予防などに必要な活動を進んで行う。

⑨ 危険な場所や災害時などの行動の仕方が分かり、安全に気を付けて行動する。

イ 人間関係

他の人々と親しみ、支え合って生活するために、自立心を育て、人と関わる力を養う。

(ア)ねらい

① 保育所生活を楽しみ、自分の力で行動することの充実感を味わう。

② 進んで身近な人と関わり、愛情や信頼感を持つ。

③ 社会生活における望ましい習慣や態度を身に付ける。

(イ)内容

① 安心できる保育士との関係の下で、身近な大人や友達に関心を持ち、模倣して遊んだり、親しみを持って自ら関わろうとする。

② 保育士や友達との安定した関係の中で、共に過ごすことの喜びを味わう。

③ 自分で考え、自分で行動する。

④ 自分でできることは自分でする。

⑤ 友達と積極的に関わりながら喜びや悲しみを共感し合う。

⑥ 自分の思ったことを相手に伝え、相手の思っていることに気付く。

⑦ 友達の良さに気付き、一緒に活動する楽しさを味わう。

⑧ 友達と一緒に活動する中で、協力して物事をやり遂げようとする気持ちを持つ。

⑨ 良いことや悪いことがあることに気付き、考えながら行動する。

⑩ 身近な友達との関わりを深めるとともに、異年齢の友達など、様々な友達と関わり、思いやりや親しみを持つ。

⑪ 友達と楽しく生活する中で決まりの大切さに気付き、守ろうとする。

⑫ 共同の遊具や用具を大切にし、みんなで使う。

⑬ 高齢者をはじめ地域の人々など自分の生活に関係の深いいろいろな人に親しみを持つ。

⑭ 外国人など、自分とは異なる文化を持った人に親しみを持つ。

ウ 環境

周囲の様々な環境に好奇心や探究心を持って関わり、それらを生活に取り入れていこうとする力を養う。

(ア)ねらい

① 身近な環境に親しみ、自然と触れ合う中で様々な事象に興味や関心を持つ。

② 身近な環境に自分から関わり、発見を楽しんだり、考えたりし、それを生活に取り入れようとする。

③ 身近な事物を見たり、考えたり、扱ったりする中で、物の性質や数量、文字などに対する感覚を豊かにする。

(イ)内容

① 安心できる人的及び物的環境の下で、聞く、見る、触れる、嗅ぐ、味わうなどの感覚の働きを豊かにする。

② 好きな玩具や遊具に興味を持って関わり、様々な遊びを楽しむ。

③ 自然に触れて生活し、その大きさ、美しさ、不思議さなどに気付く。

④ 生活の中で、様々な物に触れ、その性質や仕組みに興味や関心を持つ。

⑤ 季節により自然や人間の生活に変化のあることに気付く。

⑥ 自然などの身近な事象に関心を持ち、遊びや生活に取り入れようとする。

⑦ 身近な動植物に親しみを持ち、いたわったり、大切にしたり、作物を育てたり、味わうなどして、生命の尊さに気付く。

⑧ 身近な物を大切にする。

⑨ 身近な物や遊具に興味を持って関わり、考えたり、試したりして工夫して遊ぶ。

⑩ 日常生活の中で数量や図形などに関心を持つ。

⑪ 日常生活の中で簡単な標識や文字などに関心を持つ。

⑫ 近隣の生活に興味や関心を持ち、保育所内外の行事などに喜んで参加する。

エ 言葉

経験したことや考えたことなどを自分なりの言葉で表現し、相手の話す言葉を聞こうとする意欲や態度を育て、言葉に対する感覚や言葉で表現する力を養う。

(ア)ねらい

① 自分の気持ちを言葉で表現する楽しさを味わう。

② 人の言葉や話などをよく聞き、自分の経験したことや考えたことを話し、伝え合う喜びを味わう。

③ 日常生活に必要な言葉が分かるようになるとともに、絵本や物語などに親しみ、保育士や友達と心を通わせる。

(イ)内容

① 保育士の応答的な関わりや話しかけにより、自ら言葉を使おうとする。

② 保育士と一緒にごっこ遊びなどをする中で、言葉のやり取りを楽しむ。

③ 保育士や友達の言葉や話に興味や関心を持ち、親しみを持って聞いたり、話したりする。

④ したこと、見たこと、聞いたこと、味わったこと、感じたこと、考えたことを自分なりに言葉で表現する。

⑤ したいこと、してほしいことを言葉で表現したり、分からないことを尋ねたりする。

⑥ 人の話を注意して聞き、相手に分かるように話す。

⑦ 生活の中で必要な言葉が分かり、使う。

⑧ 親しみを持って日常のあいさつをする。

⑨ 生活の中で言葉の楽しさや美しさに気付く。

⑩ いろいろな体験を通じてイメージや言葉を豊かにする。

⑪ 絵本や物語などに親しみ、興味を持って聞き、想像する楽しさを味わう。

⑫ 日常生活の中で、文字などで伝える楽しさを味わう。

オ 表現

感じたことや考えたことを自分なりに表現することを通して、豊かな感性や表現する力を養い、創造性を豊かにする。

(ア)ねらい

① いろいろな物の美しさなどに対する豊かな感性を持つ。

② 感じたことや考えたことを自分なりに表現して楽しむ。

③ 生活の中でイメージを豊かにし、様々な表現を楽しむ。

(イ)内容

① 水、砂、土、紙、粘土など様々な素材に触れて楽しむ。

② 保育士と一緒に歌ったり、手遊びをしたり、リズムに合わせて体を動かしたりして遊ぶ。

③ 生活の中で様々な音、色、形、手触り、動き、味、香りなどに気付いたり、楽しんだりする。

④ 生活の中で様々な出来事に触れ、イメージを豊かにする。

⑤ 様々な出来事の中で、感動したことを伝え合う楽しさを味わう。

⑥ 感じたこと、考えたことなどを音や動きなどで表現したり、自由にかいたり、つくったりする。

⑦ いろいろな素材や用具に親しみ、工夫して遊ぶ。

⑧ 音楽に親しみ、歌を歌ったり、簡単なリズム楽器を使ったりする楽しさを味わう。

⑨ かいたり、つくったりすることを楽しみ、それを遊びに使ったり、飾ったりする。

⑩ 自分のイメージを動きや言葉などで表現したり、演じて遊んだりする楽しさを味わう。

2 保育の実施上の配慮事項

保育士等は、一人一人の子どもの発達過程やその連続性を踏まえ、ねらいや内容を柔軟に取り扱うとともに、特に、次の事項に配慮して保育しなければならない。

(1)保育に関わる全般的な配慮事項

ア 子どもの心身の発達及び活動の実態などの個人差を踏まえるとともに、一人一人の子どもの気持ちを受け止め、援助すること。

イ 子どもの健康は、生理的、身体的な育ちとともに、自主性や社会性、豊かな感性の育ちとがあいまってもたらされることに留意すること。

ウ 子どもが自ら周囲に働きかけ、試行錯誤しつつ自分の力で行う活動を見守りながら、適切に援助すること。

エ 子どもの入所時の保育に当たっては、できるだけ個別的に対応し、子どもが安定感を得て、次第に保育所の生活になじんでいくようにするとともに、既に入所している子どもに不安や動揺を与えないよう配慮すること。

オ 子どもの国籍や文化の違いを認め、互いに尊重する心を育てるよう配慮すること。

カ 子どもの性差や個人差にも留意しつつ、性別などによる固定的な意識を植え付け
ることがないよう配慮すること。

(2)乳児保育に関わる配慮事項

ア 乳児は疾病への抵抗力が弱く、心身の機能の未熟さに伴う疾病の発生が多いことから、一人一人の発育及び発達状態や健康状態についての適切な判断に基づく保健的な対応を行うこと。

イ 一人一人の子どもの生育歴の違いに留意しつつ、欲求を適切に満たし、特定の保育士が応答的に関わるように努めること。

ウ 乳児保育に関わる職員間の連携や嘱託医との連携を図り、第5章(健康及び安全)に示された事項を踏まえ、適切に対応すること。栄養士及び看護師等が配置されている場合は、その専門性をいかした対応を図ること。

エ 保護者との信頼関係を築きながら保育を進めるとともに、保護者からの相談に応じ、保護者への支援に努めていくこと。

オ 担当の保育士が変わる場合には、子どものそれまでの経験や発達過程に留意し、職員間で協力して対応すること。

(3)3歳未満児の保育に関わる配慮事項

ア 特に感染症にかかりやすい時期であるので、体の状態、機嫌、食欲などの日常の
状態の観察を十分に行うとともに、適切な判断に基づく保健的な対応を心がけるこ
と。

イ 食事、排泄、睡眠、衣類の着脱、身の回りを清潔にすることなど、生活に必要な基本的な習慣については、一人一人の状態に応じ、落ち着いた雰囲気の中で行うようにし、子どもが自分でしようとする気持ちを尊重すること。

ウ 探索活動が十分できるように、事故防止に努めながら活動しやすい環境を整え、全身を使う遊びなど様々な遊びを取り入れること。

エ 子どもの自我の育ちを見守り、その気持ちを受け止めるとともに、保育士が仲立ちとなって、友達の気持ちや友達との関わり方を丁寧に伝えていくこと。

オ 情緒の安定を図りながら、子どもの自発的な活動を促していくこと。

カ 担当の保育士が変わる場合には、子どものそれまでの経験や発達過程に留意し、職員間で協力して対応すること。

(4)3歳以上児の保育に関わる配慮事項

ア 生活に必要な基本的な習慣や態度を身に付けることの大切さを理解し、適切な行動を選択できるよう配慮すること。

イ 子どもの情緒が安定し、自己を十分に発揮して活動することを通して、やり遂げる喜びや自信を持つことができるように配慮すること。

ウ 様々な遊びの中で、全身を動かして意欲的に活動することにより、体の諸機能の発達が促されることに留意し、子どもの興味や関心が戸外にも向くようにすること。

エ けんかなど葛藤を経験しながら次第に相手の気持ちを理解し、相互に必要な存在であることを実感できるよう配慮すること。

オ 生活や遊びを通して、決まりがあることの大切さに気付き、自ら判断して行動できるよう配慮すること。

カ 自然との触れ合いにより、子どもの豊かな感性や認識力、思考力及び表現力が培われることを踏まえ、自然との関わりを深めることができるよう工夫すること。

キ 自分の気持ちや経験を自分なりの言葉で表現することの大切さに留意し、子どもの話しかけに応じるよう心がけること。また、子どもが仲間と伝え合ったり、話し合うことの楽しさが味わえるようにすること。

ク 感じたことや思ったこと、想像したことなどを、様々な方法で創意工夫をこらして自由に表現できるよう、保育に必要な素材や用具をはじめ、様々な環境の設定に留意すること。

ケ 保育所の保育が、小学校以降の生活や学習の基盤の育成につながることに留意し、幼児期にふさわしい生活を通して、創造的な思考や主体的な生活態度などの基礎を培うようにすること。


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